スマートセンシングと
フィジカルAI技術分科会
背景と調査の重要性
工業・農業・医療・防災などの分野では、センサデバイス・IoT/AI技術により取得した環境・生体情報をエッジ端末やサイバー空間で処理・分析して、遠隔診断操作により見守り・診断・監視・操作・管理を効率的に行う事が行われており、産業機器のみならず、スマート家電・次世代ロボットやドローンなどにも応用されている。また、様々な社会問題解決や気象変動・資源の枯渇に向けて、消費活動の効率化と省エネ・安全を促進する新しい技術が期待されている。一方、生成AI技術は、入力をテキストから、音声・画像・回路図に展開しており、テキスト・音声・画像・数式・数値出力を作りだしている。生成AIがデジタル空間で「言葉」を作るのに対し、フィジカルAIは物理空間で「行動」を生み出す生成フィジカルAIであり、今後の大きなトレンドとなると思われる。正しい「行動」を生み出す生成フィジカルAIが実現できれば新しい生産手法や生活スタイルの確立に不可欠な技術となる。
材料技術と微細加工によるセンサデバイスならびに高性能集積回路の融合技術により、様々なスマートセンサが研究・製品化されており、さらにマイコンとLPWA (Low Power Wide Area) IoT無線の融合によりインターネット上のクラウドシステムにつながっている。スマートセンシングは可視化、統計、時系列解析、機会学習技術を行い得られたセンサデータの解析によって予測や判定・遠隔操作を行う統合システムへ進化している。産業界では実空間(フィジカル空間)に埋め込まれた様々なセンサとセンサネットワークから送信される大量のビッグデータの解析により、生産性の向上や災害リスク低減などの課題解決に役立てている。今後は、これらの結果、人間を介さずに、直接機械による行動として出力することでIT機器、ロボット・車などが革新的に進化する。これらの装置への情報入力装置であるセンサデバイスの設計製造メーカとして欧米・アジア圏の企業の台頭が顕著であり、今後日本企業は開発方向を適切に選択する必要がある。一方、地政学リスクに伴う半導体製造拠点として日本が再注目され、さらにパワーエレクトロニクス、光電子融合技術など日本の強みを再構築する動きも出ている。
今後、センサデバイス・IoT・パワーエレクトロニクス、フィジカルAI技術を融合して製造業、物流、モビリティ、医療・介護、農業・環境、災害対応などの分野に展開していくことが日本企業に期待されている。フィジカルAIの実現には、信頼性のある多数のセンサの取得データを蓄積して統計・機械学習による解析により価値のあるサービスを構築する事が重要である。各種センサを用途ごとに適切に使い分け、様々な分野の知見を融合してそれぞれのターゲットに会わせた設計と製作・用途開拓などを進める事が必要とされている。そのため、本技術分科会ではスマートセンシングとフィジカルAIに向けたデバイス技術、集積化技術、端末・プラットフォームとの連携技術の調査を行っていく。本調査では、以下の事項について幅広く調査し議論する。
調査項目
- (a) スマートセンシングを実現するエッジAIアルゴリズムの調査
- (b) センサ・遠隔操作デバイスの機能進化の調査
- (c) IoTデバイスの社会実装と産業応用の調査
- (d) センシング技術とAI・遠隔操作の融合事例の調査
- (e) 新しい原理・技術のセンサ・アクチュエータデバイスの調査
- (f) 新規IoT無線の規格・性能の調査
- (g) 農業・防災におけるスマートセンシングと活用事例の調査
- (h) IoT機器向けエナジーハーベスト技術の調査
- (i) フィジカルAIの事例調査
委員会参加MEMBER
- アズビル
- アルプスアルパイン
- セイコーフューチャークリエーション
- 東芝
- パナソニックホールディングス
- 三菱電機
- 村田製作所