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「クラウドサ一ビス等と著作権」に関する意見

2015年3月3日

26JEITA-知基第171号
平成27年3月3日
一般社団法人 電子情報技術産業協会
法務・知的財産権委員会 著作権専門委員会

クラウドサービス等と著作権に関して、著作物等の適切な保護と利用・流通に関する小委員会(以下、「本小委員会」)において検討が行われ、「クラウドサービス等と著作権に関する報告書」(平成27年2月13日公表。以下、「本報告書」)が取りまとめられたことに関し、当協会の意見を表明します。
まずは本小委員会において検討を頂いたことを感謝し、特に、ロッカー型クラウドサービスのうちプライベート・ユーザーアップロード型の枠内で行われる利用行為についてユーザー主体であり「権利者の許諾を得ることは特段不要」と再確認されたことを歓迎致します。 併せて、当協会としましては、未だ解決されていない問題があると考えますので、今後、クラウドサービス等と著作権に関して議論をさらに積み重ね、問題の解決につなげるべく、以下に配慮し検討が継続されるべきと考えます。
1.立法事実の捉え方について
当協会は、ロッカー型クラウドサービス以外にも、今後発生しうる契約では対応困難な新しいサービスについて、その適法性を柔軟に判断する柔軟性のある規定の導入を求めて参りました。
本報告書では、「現に各サービスを行っている事業者」へのヒアリングにおける「当該事業者が実際に提供しているサービスについては、現行の著作権法の範囲内で十分に対応することができている」との意見や、「契約によって対応すべき」との意見等を理由として、「法改正を行うに足る明確な立法事実は認められなかった」と結論づけています。しかし、「現に各サービスを行っている事業者」が現行法で対応できていると回答することは当然であり、「契約によって対応すべき」との意見は契約では対応困難な新しいサービスへの解決策となりえません。
問題は、新しいサービスが著作物の利活用を促進し且つ権利者の権利を不当に害しないものであっても、現行法の規定から逸脱すれば侵害のおそれがあるため、事業者が萎縮してサービスの提供が困難になることです。 技術の進歩により新たなサービスが想像を超える速さで次々と生まれてくる今日において、当協会に属する事業者が利便性の高いサービスを時宜に応じて提供し、世の中を豊かにしていくことは当業界の使命です。現行法における萎縮効果を払拭し、将来のビジネス環境の整備のための必要性があることを立法事実として捉え、法改正を行うことが必要です。
2.「世界で最もイノベーションに適した国」に向けて
現在、世界各地で著作権法に柔軟性のある規定を導入する動きが相次いでいます 。それらの国では、著作権の保護と利用のバランスを確保しつつ、イノベーションを促進させることを目的にそのような改正を行っており 、国際競争に勝つためには我が国も同等かそれ以上の改革が必要です。
権利者に不当な不利益を与えない範囲で、国民が世界最先端の技術の恩恵を享受できるよう、「日本を『世界で最もイノベーションに適した国』にする」 べく、著作権法の改革の断行が求められます。
以上

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