シーンオリエンテッド
先端実装技術分科会
背景と調査の重要性
コロナ禍で余儀なくされたNew Normal社会活動が起爆剤となって、世界を駆け巡る情報量が新たな次元に突入した。175ZB(2025年予測値、8.5ZB/2015年)といった指数関数的に増加する情報量に合わせて半導体市場が急激に膨張した。これを受けて2030年100兆円の市場予測が前倒しされる勢いである。この一方で、コロナ禍でサプライチェーンが風邪をひくと、世界すべての産業が停滞し、半導体産業が先進各国の経済安全保障の金目となっていることが浮き彫りとなった。
半導体競争力の確保には特効薬はないので、社会実装を目的とした息の長いグローバル戦略が次の時代の半導体をけん引する。半導体をけん引するのは、言うまでもなくチップレット実装を代表に三次元集積技術である。この実現には、物理限界を迎えたとはいえウエハ前工程と実装をシームレスで俯瞰した、STCO (System-Technology Co-Optimization)やDTCO (Design-Technology Co-Optimization)からなる半導体開発と製造技術が欠かせない。単一トランジスタの駆動電力から始まり、システム全体の消費電力の削減が、ひいては地球温暖化防止に貢献する。上位概念に位置するSTCOからは、システム内(2.5Dや3Dも含む)の情報伝送エネルギーがこれからの新しい指標になる。情報伝送の媒体は配線であり、体積換算で効率よい高密度配線(High-Dense Connectivity)の作製とコストに裏打ちされた製造技術が今後のカギを握る。
本調査委員会では、これまで一貫して“モノ、ハードの実装技術”を二つの側面から調査してきた。IoTにより新たな市場拡大が見込まれる業種・分野とその実現を支えるハードウェア・実装技術:“市場ニーズ対応型ビジネス、サプライチェーン”の調査(トップダウン)と、デバイス・部品の集積化・実装技術により、モジュールの小型化、高性能、高機能化、高エネルギー効率化から生み出される、電子機器の新たな応用分野:“提案型・市場開拓ビジネスモデル”の調査(ボトムアップ)である。With コロナの状況下で進行する、デジタル化、脱炭素化、ポスト5G(6G)といった分野における日本(日本企業)の客観的な技術力を、トップダウンとボトムアップの両側面から把握する必要があると考えている。
調査項目
2030年の社会システムを見据え、それを支える電子機器・デバイスとその実現に向けた実装技術および、材料・プロセス・製造技術を調査し、日本の電子産業強化のために今後必要となる実装技術を抽出する。
- ・実装技術に対するIoT市場ニーズ(IoTが各業種、業態へ与えるインパクト)
- ・各種製品(機器、装置、デバイス)における実装技術
- ・設計技術(水平分業化した実装工程、全体のデザイン)
- ・先端実装技術(材料、プロセス、集積技術)
- ・低コスト化に向けた製造技術
- ・電子産業強化のための実装技術
委員会参加MEMBER
- ソニーセミコンダクタソリューションズ(株)
- 日本電気(株)
- (株)日立製作所
- 富士通(株)
- (株)東芝
- 三菱電機(株)
- (株)村田製作所