株式会社村田製作所 村田恒夫会長インタビュー

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2023年10月25日

一般社団法人電子情報技術産業協会
電子部品部会

2007年以来、長くJEITAの活動にご尽力いただいた株式会社村田製作所 村田恒夫会長が、9月の電子部品部会を最後にJEITA委員から退かれました。
これまでのJEITAでの活動を振り返ってお話しを伺いました。

――JEITAでは、副会長、電子部品部会長、関西支部運営部会 副部会長、関西支部部品運営委員会 委員長など、ご歴任いただきました。

JEITAには2007年から16年間JEITAに参画させていただきました。長い間ありがとうございました。
その間、何度か部会長をさせていただきました。
JEITAでは、様々な活動に参加させていただいて、色々学ぶことができました。経済産業省様からは、グローバルな世界の情勢や、日本の政策など貴重なお話しをいただき、経営にも大変役に立ったと思っています。
機器・部品メーカー懇談会は、本部で年1回、関西支部で2回、合計年3回、いろんな方々の講話を聞けてよかったと思います。以前はセットメーカーさんからのお話しが中心でしたが、今ではCEATECに見られるように、全産業を対象に幅広い分野の皆様の情報をいただけるのは非常に良かったと思います。
JEITAの活動は本当に貴重な機会でした。

2013年 2014年 JEITA副会長/JEITA電子部品部会 部会長

――当時、成長市場として期待されていた医療機器分野に対して取り組まれました。

2013年に「医療機器対応タスクフォース」を立ち上げ、2014年に「医療機器への電子部品供給ガイド」を発刊しました。
当時の安倍内閣は医療および医療関連産業の拡大をアベノミクスの第三の矢の主要施策のひとつとして位置付けていて、産官学協力して産業を拡大することを掲げていました。電子部品メーカーとしても医療の質の向上という社会的使命を果たすために、また業界の今後の発展のためにも成長産業分野である医療機器市場へ先進的かつ高品質の電子部品を供給することは重要課題と考えていました。
ところが、日本では電子部品・部材メーカーが医療機器のリスクを測りかねて医療機器分野への参入を躊躇し必ずしも積極的に医療機器向けに部品を供給する状況には至っていないことが指摘されていました。このような誤解を払拭するために、私たち電子部品メーカーが積極的に電子部品を医療機器分野へ供給しやすくなるような環境づくりをしなければならないと認識し、「医療機器対応タスクフォース」を立ち上げて医療機器をめぐる諸問題を研究・調査し、その活動成果として「医療機器への電子部品供給ガイド」を発刊し、電子部品メーカーのみならず医療機器分野へ参入する関心を持っている方々に、医療機器市場へ自発的また積極的に参入する必要があることを感じていただくことを目指しました。

2018年 2019年 JEITA副会長/JEITA電子部品部会 部会長

――常に新しい市場へのアプローチを業界全体取り組まれてきました。

電子部品部会の海外調査事業で2018年1月のCESの視察レポートで展開されましたが、CESの会場で自動車のテクノロジーの進化を表す「CASE」ビジョンが示されました。 電子部品部会では、車載デバイス需要につながる自動車技術、市場、ビジネスにおける2025年以降の長期的な見通しについて調査し、メンバーの皆様の理解を深めるために「車載デバイスの将来展望調査タクスフォース」を立ち上げました。
電動化の時期や、自動運転の進化、半導体の変化、マーケティング情報、サプライチェーンの変化、関連法制度など、自動車の変動要因は多岐にわたっていました。様々な講演を通じて知見を広める活動に各社の関心が高く、参加企業も多く活況な活動となりました。
2019年には、人材育成が業界の関心テーマとなり、10月に幕張メッセで開催したCEATECでは、学生交流ラウンジが設置され、多くの学生が集まる中、Society5.0の実現を支える電子部品の役割などを説明し、学生から多くの質問をいただきました。直接、学生と語り合うことができた貴重な体験となりました。
「電子部品について今まで何も知らず、話しを聞いて理解を深めることができました。」と学生の声があったと聞き、とても嬉しく思いました。

CEATEC 2019 学生交流ラウンジ

CEATEC 2019 学生交流ラウンジ

2009年 2010年 2011年 2016年 2021年 関西支部 部品運営委員会 委員長

――JEITA関西支部でも様々な活動にご尽力いただきました。

関西支部部品運営委員会では、グローバル開催として、最近では2018年に中国香港・深センで実施しました。
JETRO香港事務所を訪問し、深セン・香港のイノベーション動向や、中国における経済・政策・ビジネス環境についてブリーフィングを受けました。
深センでは、「アリババグループ」のEコマース、金融、モバイルなど多様な企業群が拠点としている阿里中心(アリ・センター)を視察しました。従来の製造業では不可能な小ロット・短納期で電子機器基板を製造・供給する「Seeed Technology社」を訪問。あわせて、中国のMITとも呼ばれる清華大学の傘下組織「深セン清華大学研究院」などを訪問しました。
いずれの企業・研究院においても、中国の若く優秀な人材が、多様な企業・起業家とグローバルに連携しつつ、事業をスピーディに展開していて、日本のものづくりとの差異を見せつけられた印象を持ちました。当時の深センの街は斬新なデザインの高層ビルが続々と建設され、起業を目指す若者の活気に溢れていました。まさに深セン・香港のパワーを実感する視察だったと記憶しています。

2018年関西支部部品運営委員会グローバル開催(香港・深セン)

2018年関西支部部品運営委員会グローバル開催(香港・深セン)

過去のグローバル開催

2009年 香港・深セン、 2010年 中国・青島、 2011年 インドネシア、 2012年 フィリピン、 2013年 韓国、 2014年 台湾、 2015年 ミャンマー、 2016年 シンガポール,マレーシア、
2017年 ベトナム、 2018年 香港・深セン、 2019年 中国・西安

JEITAでの活動16年間にわたり大変お世話になりました。ありがとうございました。

16年間経た現在も、日本の電子部品は世界シェア34%以上を保っていますが、なぜシェアを取っていけたかというと、化学・素材メーカーの力があったからだと考えています。 私はかねてから「良い製品は良い電子部品から。良い電子部品は良い材料から。」と考えています。環境対応が取られていない材料や、人権が配慮されていない材料もサプライチェーンで繋がる電子部品メーカーにとっては非常に重要な問題です。

今、電子部品部会で活動しているカーボンニュートラル検討会は、電子材料メーカーさんにも積極的に参加いただいて、サプライチェーンの上流の企業と共に脱炭素に向けて意識を高めていく取り組みが成果を上げていると聞いています。これは電子部品産業にとって大変重要な意味を持つことだと思います。

RE100については、今、いろいろ努力しているが個社の努力には限界があり、日本のエネルギー政策を明確にしていただきたいとの思いや、原材料メーカーへのカーボンニュートラル化への支援の必要性等を申し上げてまいりました。

一方では、私が会長になり、経済産業省様との政策懇談などJEITAでの活動を通じて提供いただいた様々な情報を社内で十分に活用できなくなってきた面もあったと思います。 これから私の立場を新しく中島社長にバトンタッチいたします。 是非、新しく参加する中島にも同様の懇意をいただけますと幸いです。

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