JEITA電子部品部会 栗山前部会長インタビュー

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2014年以来10年間、JEITAの活動にご尽力いただいたアルプスアルパイン株式会社 栗山年弘相談役が、4月の電子部品部会総会を最後にJEITA委員から退かれました。
これまでのJEITAでの活動を振り返ってお話しを伺いました。

――JEITAでは、副会長、電子部品部会長を2015-17年、2022-23年と2期ご歴任いただきました。1期目の活動はどのようなものでしたか。

2015年当時、冷蔵庫やエアコンなど家電製品がネットにつながって省エネを実現するようなCPS/IoTの実例が出はじめ、欧米で自動車の走行情報から保険料率を決める新型保険の登場や、農業で水田の水量や温度を遠隔監視できる機能など、IoTの活用が多種多様な分野に広がりをみせていた頃でした。

11月に電子部品部会傘下に電子部品CPS/IoT対応TFを設置し、CPS/IoT関連の国およびJEITAの動向をウオッチし、電子部品業界全体の底上げを図る取り組みをはじめました。

2016年は、世界景気の潮目が変わったと言われるようになりました。日本の電子部品の仕向け地で最も多い中国市場と製品ではスマホ向けの伸びが鈍ってきました。スマホは、これまで台数ベースで2桁の伸びを示していたところ、2015年は1桁台に落ち込んでいました。

かわりに、車載向けの電子部品は2桁台で成長。従来からのエンジン車の電子化に加え、ハイブリッド車やEV向けで搭載される電子部品は増え、ADAS(先進運転支援システム)も加わってきました。自動車の様々な部分が電子化し、電子部品の出番が一段と広がっていくものと見通していました。

2017年、JEITAではSociety5.0の推進を事業方針に掲げ、エレクトロニクス以外の異業種との協働を図るため、①先進交通、②ヘルスケア、③スマートホームの3部会を新たに立ち上げ、エレクトロニクス企業に加えてIoTに関わる多様な企業が広く参加できるよう、会員制度を変更しました。

電子部品の異業種ユーザとのビジネスは、部品単体ではなく、半導体やファームウエアなども一体化して提供するなど、コンポーネントモジュールの形で提案していくことが求められるようになりました。

電子部品部会でもそうした業界の動向の研究に努めながら、これまで築いてきた電子部品への信頼性の維持、規格・標準化に向けた活動も引き続き強化しました。

――2期目は、業界を取り巻く環境が大きく変わりましたが。

2022年、再び部会長になった際には、コロナ禍と中国のロックダウンに続き、ロシアのウクライナ侵攻を背景に、サプライチェーンの支障やエネルギー価格の高騰、半導体不足の問題に直面していました。
また、世界的なカーボンニュートラルの流れを受け、JEITAは「グリーン×デジタルの社会実装」というビジョンを掲げました。各社がカーボンニュートラルへの対応を進めることと同時に、エネルギー管理には電力制御システムが重要になり、電子部品の用途も広がっていくものと見通していました。
カーボンニュートラルやソサエティー5.0へと向かう中で、電子部品の小型化、高機能化、省エネ化はますます進み、センサーや通信・5G対応など、先端の電子部品は日本の強みとなります。これら日本の電子部品の強みや特長を対外的にアピールすることが求められたことから、情報発信の強化を目的としたプロモーションWGを立ち上げ、電子部品部会のWebsiteのリニューアルに着手することから活動を始めました。

2023年には、CEATECに電子部品部会として初めてブース出展し、人材育成の視点から学生や一般来場者に向けて広く電子部品産業の魅力や強みを紹介しました。
また、特に半導体業界で顕在化していますが、経済安全保障の面でも政府の関与なしでは戦えない状況になってきました。電子部品メーカーはこれまで産学連携による共同開発には熱心で、官民連携はほとんどありませんでしたが、今後はどのように官民連携に取り組むかも重要なテーマになってきます。
電子部品部会では、現在、官民連携と情報発信の強化を基軸とした事業を推進しているところです。

――JEITAでの活動10年間にわたり大変お世話になりました。ありがとうございました。

今期の部会長としては2年間でしたが、電子部品部会(在籍)としては10年間。大変お世話になりました。
電子部品部会の思い出は、会議の他にも、懇親会や外部での開催。年末はいつも関西、大阪や京都で開催した時のことをよく覚えています。夏はゴルフもある懇親会があって、それが思い出深い。この業界にはゴルフがこれだけうまい社長がいるのだと驚いた。
私はJAPIA(日本自動車部品工業会)の理事でもあるが、JEITAとJAPIAは同じ部品業界でも雰囲気が全然違う。電子部品は系列や派閥がなく、独立独歩の経営をやっていて、それでみんな集まって電子部品を強くしていること、それはすごく大事。半導体に比べて電子部品というのは目立たないけれど、大きな産業を支えている自負がある。新部会長のもとで皆さん頑張って発展していってもらいたい。
2年間、そして10年間ありがとうございました。

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