――JEITAでは、副会長、電子部品部会長を2015-17年、2022-23年と2期ご歴任いただきました。1期目の活動はどのようなものでしたか。
2015年当時、冷蔵庫やエアコンなど家電製品がネットにつながって省エネを実現するようなCPS/IoTの実例が出はじめ、欧米で自動車の走行情報から保険料率を決める新型保険の登場や、農業で水田の水量や温度を遠隔監視できる機能など、IoTの活用が多種多様な分野に広がりをみせていた頃でした。
11月に電子部品部会傘下に電子部品CPS/IoT対応TFを設置し、CPS/IoT関連の国およびJEITAの動向をウオッチし、電子部品業界全体の底上げを図る取り組みをはじめました。
2016年は、世界景気の潮目が変わったと言われるようになりました。日本の電子部品の仕向け地で最も多い中国市場と製品ではスマホ向けの伸びが鈍ってきました。スマホは、これまで台数ベースで2桁の伸びを示していたところ、2015年は1桁台に落ち込んでいました。
かわりに、車載向けの電子部品は2桁台で成長。従来からのエンジン車の電子化に加え、ハイブリッド車やEV向けで搭載される電子部品は増え、ADAS(先進運転支援システム)も加わってきました。自動車の様々な部分が電子化し、電子部品の出番が一段と広がっていくものと見通していました。
2017年、JEITAではSociety5.0の推進を事業方針に掲げ、エレクトロニクス以外の異業種との協働を図るため、①先進交通、②ヘルスケア、③スマートホームの3部会を新たに立ち上げ、エレクトロニクス企業に加えてIoTに関わる多様な企業が広く参加できるよう、会員制度を変更しました。
電子部品の異業種ユーザとのビジネスは、部品単体ではなく、半導体やファームウエアなども一体化して提供するなど、コンポーネントモジュールの形で提案していくことが求められるようになりました。
電子部品部会でもそうした業界の動向の研究に努めながら、これまで築いてきた電子部品への信頼性の維持、規格・標準化に向けた活動も引き続き強化しました。