定格電流が20A/相を超える機器
測定用電源及び測定機器については、家電・汎用品ガイドラインの規定を適用した。測定回路の測定系インピ−ダンス値については、以下のようにして規定した。
家電・汎用品ガイドラインの測定系インピ−ダンス値ZS+ZMは、低圧配電回路のインピ−ダンスの累積百分率90%値を採用しており、定格電流Iにおける測定系のインピ−ダンス(ZS+ZM=Zとする)による電圧降下VSは、約8%(100V回路)である。
V S = I・Z= 20×0.42 = 8.4(V)
(100V回路のZ = =0.42Ω)
8.4/100×100 = 8.4%8%
(低圧回路の高調波対策の調査研究に関する中間報告 (社)日本電設工業協会 技術委員会低圧回路高調波対策専門委員会昭和58年9月より)
従って、測定系のインピ−ダンスによる電圧降下VSが8%となるような20A/相を超える機器の定格電流の累積百分率90%値におけるインピ−ダンス値を、20A/相を超える機器の測定系のインピ−ダンス値Zとして規定することとした。(機器の定格電流の累積百分率は、当協会高調波対策専門委員会メンバー各社の調査結果によった。)
尚、抵抗分とインダクタンス分の位相角(θ = cos-1R S / )は、60Hzのときの家電・汎用品ガイドラインのそれぞれのインピ−ダンスの位相角に合わせた。
(1) | 単相100V機器の場合
機器の定格電流Iの累積百分率90%値は、約40Aであり、測定系のインピ−ダンスによる電圧降下VSは100(V)×0.08 = 8(V)である。
従って、インピ−ダンス値Zは
Z = V S / I = 8 / 40 = 0.2(Ω)
位相角は19.3度であるため(θ= cos -1 R s / Z =19.3度)
R S = 0.2・cos19.3 = 0.19(Ω)
X S = 0.2・sin19.3 = 0.07(Ω)
L S = X S / 2πf = 0.18(mH)(ただし、f = 60Hz時)
となる。 |
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(2) | 単相200V機器の場合
機器の定格電流の累積百分率90%値は、約70Aであり、測定系のインピ−ダンスによる電圧降下VSは200(V)×0.08 = 16(V)である。
従って、インピ−ダンス値Zは
Z = V S / I = 16 / 70 = 0.229(Ω)
位相角は24度であるため
R S = 0.229・cos24.1 = 0.21(Ω)
X S = 0.229・sin24.1 = 0.09(Ω)
L S = X S / 2πf = 0.25(mH)(ただし、f = 60Hz時)
となる。 |
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(3) | 三相200V機器の場合
機器の定格電流の累積百分率90%値は、約140Aであり、測定系のインピ−ダンスによる1相当たりの電圧降下VS/√3 = 200(V)×0.08/√3=9.24(V)である。
従って、インピ−ダンス値Zは
Z = V S / √3 / I = 9.24 / 140 = 0.066(Ω)
位相角は24.53度であるため
R S = 0.066・cos24.53 = 0.06(Ω)
X S = 0.066・sin24.53 = 0.03(Ω)
L S = X S / 2πf = 0.07(mH)(ただし、f = 60Hz時)
となる。
尚、測定系のインピ−ダンス値の精度は、家電・汎用品ガイドラインでは、±8%であるが、インピ−ダンス値が小さくなると高精度とすることが困難になるため、20A/相を超える機器の測定系インピ−ダンス値の精度は、±10%とした。 |
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