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2006年情報端末関連機器の世界・日本市場規模および需要予測
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T.ディスプレイ

[ 1: 2006年の市場規模 ]

 2006年の液晶モニタの世界市場は,主用途であるデスクトップパソコンが前年から引き続き堅調な伸長であることや,CRTモニタから液晶モニタへの移行が継続していることから,総出荷台数として前年比114%の12,024万台となった。サイズ別の構成比では17型に加えて19型の割合が増加し,また 昨年同様,20型以上のクラスにおいても好調な伸びを示した。
 国内市場は台数が551万台(前年比103%)と,これまで続いていたマイナス成長を漸く台数ベースで脱することができた。構成比では17型クラスは横ばいで,19型クラスが着実にシェアを伸ばしている。なお,デスクトップパソコンに於いても,モニタ画面のワイド化が顕著な動きを示している。反面,国内市場の金額推移は一層の単価下落を受け,2006年2,223億円(前年比89%)と落ち込むことになった。
 技術トレンドとしては,特にコンシューマ向けパソコンに於けるAV機能の搭載に伴う表示性能の向上やWindows Vistaに対応して性能向上を行ったパソコンのラインアップが進んでおり,モニタへの高画質化要求も高まっている。
 2006年におけるCRTモニタの世界市場は,液晶モニタへの置き換えが加速していることから,台数ベースで前年比72%と落ち込み,今後も前年比70〜80%レベルで減少が続くと見られる。国内市場では2007年からは事実上パソコン市場での需要はゼロとなり,特定領域でわずかに残る分も,早晩,液晶モニタに置き換わると見られる。


[ 2: 2009年までの予測 ]

 2009年までの液晶モニタの世界市場は,BRICs諸国をはじめとする新興市場の牽引によりデスクトップパソコン市場が堅調に推移することや,CRTモニタの置き換えが引き続き進むことから,前年比110%前後の伸長が続くと見られる。サイズ別には15型以下が急速に縮小し17型以上へとシフトが進み,特に19型以上の増加が著しい。2007年で17型と19型の構成比は拮抗し,2008年以降は18-19型が主流になると予測する。
 国内市場では,台数ベースでは2009年までは引き続き前年比101〜103%で推移すると予測する。国内市場の特徴としてコンシューマ用を中心にノートパソコンへのシフトが顕著であることから,液晶モニタとしてはパソコン全体の伸長率よりはやや低い前年比で推移する。サイズ別に見ると17型クラスが主流で40%以上の構成比で推移するが,19型以上の急拡大で2008〜2009年でほぼ16-17型と18-19型が構成比で拮抗する。15型以下のサイズも一定のウェイトでしばらく市場に残ると予想する。金額ベースの国内市場は,各サイズの単価下落が進み,19型,20型クラスへのシフトとワイドタイプへのシフトによる付加価値化が図られるものの,市場全体では前年比100%割れが続くと予想される。
 世界市場,国内市場共通のトレンドとして,画面の大型化がワイド化を伴って進展しており,17型スクエアサイズ(画面アスペクト比4:3,5:4等)の置き換えとして19型ワイドタイプ(同16:9,16:10等),将来的には20型UXGAの置き換えとして22型ワイドタイプ(WUXGA)などの動きが予測される。


[ 3. インターフェイスの技術動向 ]

 液晶モニタのインターフェイスに関し,今後,映像信号のコンテンツプロテクション等が進む中でインターフェイスのデジタル化が望まれている。一方,大型化・高解像度化,動画応答改善のためのハイリフレッシュレート化,広色域技術を活かす多階調化が進んでおり,従来のインターフェイスでは限界があるため,非圧縮で広帯域を実現すべく,「ディスプレイポート(Display Port)」「UDI(Unified Display Interface)」等複数の新しいデジタルインターフェイス規格が提案されている。これを受け,今後2008〜2009年頃より,次世代デジタルインターフェイスの大きな流れが顕在化するものと予測される。


[ 4. ノートパソコン用液晶ディスプレイ ]

 2006年におけるノートパソコン用液晶ディスプレイは,世界市場で台数ベース前年比128%の7,984万台となった。今後も世界市場では2桁成長が見込まれており,2007年:9,145万台(前年比115%),2008年:10,499万台(同115%),2009年:11,900万台(同113%)と予測する。
 国内市場においては,2006年は台数ベースで前年比106%の749万台となった。今後は世界市場ほどではないものの,前年比105%レベルの堅調な増加が見込まれており,2007年で前年比104%の779万台,2008年で前年比105%の816万台,2009年で105%の855万台と予測している。国内市場の特徴として画面サイズ12型以下のモバイル用小型パソコンとデスクトップの置き換えである大型画面タイプの二つの需要がある。大型画面タイプはコーポレート用ではメインマシンとしてデスクトップパソコンに匹敵する高性能,コンシューマ用ではAV用途を取り込んだモデルが主流となっている。


[ 5. パブリックディスプレイ ]

 2006年はディスプレイの大型化と低価格化に伴い,公共の場で情報を表示・発信する「パブリックディスプレイ」市場が大きく進展した。用途としては,従来の主流である空港,駅等における運行表示や空席案内に加え,ショッピングモールや公共の場での各種インフォメーション表示や会議室でのプロジェクターに変わる表示装置,金融関係・ホテルでのメニューボードなど,多種多様な用途が提案されている。なお,当カテゴリについては定義について議論が分かれており,今後商品動向を注視しながら市場規模と技術動向を議論していく必要がある。


[ 6. 医用画像表示用モニタ ]

 近年,医用画像のデジタル化,電子カルテ導入を促進する各国の法整備に伴い,医用画像表示用モニタの需要が拡大している。この分野ではまず300万画素以上のモノクロ液晶モニタが市場を牽引してきた。一方,カラー液晶モニタにおいても高輝度化が進んでおり,200〜300万画素のモデルを中心に需要が立ち上がってきている。今後,様々な医用画像の電子化に伴い,コストと表示性能とのバランスから200万画素前後のカラー液晶モニタが主な需要帯になると予想される。



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