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2006年情報端末関連機器の世界・日本市場規模および需要予測
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U.プリンタ

[ 1: 2006年の市場規模 ]

 2006年プリンタの世界市場は,堅調な欧米市場の需要に加え,アジア・パシフィック市場の継続的な成長,BRICsに代表されるその他世界の市場の成長などがあいまった結果,台数では1億2,500万台(前年比103%),金額では5兆9,800億円(前年比103%)と前年を上回る水準となった。
 ドットマトリックスは,他のプリント方式へのテクノロジーシフトによる北米や西欧市場での減少と,中国,その他アジア地区の堅調な動きなどで減少傾向は緩やかに継続し,台数で276万台(前年比96%),金額では1,678億円(前年比93%)となり,前年から若干のマイナス傾向は続いている。
 2003年度より緩やかな成長を再開したインクジェットは,前年に引き続きインクジェット複合機の急速な拡大の波が北米から西欧,日本,その他市場と広がってきた。この複合機の大幅な伸長がある一方,単機能機は大きく減少し,2006年合計台数では9,203万台(前年比100%)となった。同時に機器単価の下落傾向は続いており,インクジェット単機能機より単価の高いインクジェット複合機にもその影響は及んでいる。この単価下落による金額の市場規模の縮小は,インクジェット複合機の市場規模の拡大を上回り,金額は,約1兆6,705億円(前年比98%)と前年割れとなった。
 ページプリンタは,モノクロ市場においては発展途上国における継続成長に加え,北米,欧州市場でのSOHOや個人市場に向けた,小型で印刷速度がアップされた製品がドライブ要因となり市場の伸長が見られた。加えてカラープリンタの市場においては,モノクロプリンタ同様小型化,印刷速度がアップされた製品の投入が進み,さらにSOHOや個人向け市場でも購入可能な低価格の実現により,市場が大きく成長した。ページプリンタ全体では,台数で2,140万台(前年比107%)と対前年比増だったが,金額では単価下落の影響から1兆2,400億円(前年比93%)となり,前年割れとなった。
 ページプリンタ市場は,モノクロプリンタ価格の低下はあるものの,それを補うカラープリンタの増加により,総じて堅調な拡大が見られたが,金額ベースでは,カラープリンタ価格の低下による影響により,前年比減となった。地域別状況をみると,北米市場はカラー,モノクロとも伸張し,560万台(前年比105%),西欧市場も同様にカラー機の市場の伸びで,600万台(前年比103%)と北米市場と並ぶ成長となった。日本市場は,モノクロプリンタの台数低下により,101万台(前年比98%)とマイナス成長となった。アジア・パシフィック市場(中国を除く)は継続して成長を続け,210万台(前年比111%)となった。中国市場は250万台(前年比108%)と成長を継続し,世界市場の12%を占めるまでになった。
 ページ複合機は,台数で890万台(前年比132%),金額では2兆9,030億円(前年比111%)と順調な伸びを示した。


[ 2: 2010年までの予測 ]

 2002年から回復基調が継続しているプリンタ市場は,今後2010年まで緩やかに成長を続ける。全世界販売台数は2006年に既に1億2,500万台を越え,2010年には1億3,800万台になると予測される。

【減少傾向ながら底堅い需要:ドットマトリックスプリンタ】
 ドットマトリックス市場は,ここ数年同様に,市場を大きくドライブする要因が見当たらない。但し,インクジェットやページプリンタへのテクノロジーシフト進行は否めないものの,他方式に優る保守の容易さ・低ランニングコスト等の特長から新興国中心にプリンタ導入機種としての需要が見込まれること,欧米の成熟市場においてもノンインパクトプリンタでは対応できない用途・業種に根強い需要があることから,台数では2010年まで年率2%程度,金額では年率6%程度の減少で推移していくものと予測する。

【複合機の急成長:インクジェット単機能機/複合機】
 インクジェット市場は,ここ数年のダイレクトプリント機や複合機に加え,A4未満のフォト専用プリンタが2004年に入り台頭するなど新たな製品領域を形成する動きが芽生えつつあり注目される。しかしながら,世界的な複合機の伸長と,中国を始めとする途上地域における低価格機の普及などの成長要因はあるものの,単機能機のマイナス成長による台数減もあり,インクジェット全体では2009年に一億台に迫るピークに達すると予測した。うち複合機は,欧米・日本市場を中心に現在急拡大しているが,その後も高成長を続け,2010年には6,709万台となると予測する。

【本格化するカラー市場:ページプリンタ】
 ページプリンタ市場では,今後も緩やかな成長が続き,2010年で2,370万台に達すると予測する。うちモノクロページプリンタ市場は,買い替え需要が主体となる先進地域で緩やかな減少傾向となる一方,成長を続ける中国をはじめとする新興国(BRICs)において市場が拡大し,その後維持に向かう形となり,先進地域の減少分を補う。モノクロページプリンタ全体としては2007年をピークとしてその後マイナス基調に転じると予測する。また,カラーページプリンタ市場は,エントリークラスの製品においては印字速度及び本体サイズがモノクロ機に非常に近くなっていること,また4T製品の速度レンジの拡大に伴う製品のバリエーションの広がりがドライブ要因となり,市場が拡大していく。2010年には670万台(ページプリンタ全体の28%)の規模を占めると予測する。

【パーソナル機・ワークグループ機共に続く安定成長:ページ複合機】
 ページ複合機市場は,今後も安定成長を続け2010年で1,500万台程度の規模になると予測する。モノクロパーソナル複合機ではFAX機能の製品力が相対的に低くなり,小設置面積の特長を活かしコピー機能の利便性を活かしたフラットベッドタイプが伸びる。モノクロワークグループ複合機ではアナログ複写機がほぼ全てデジタル化されることにより市場が堅調に成長する。また,カラーページ複合機はオフィスのカラー化とカラー複写機の低価格化が更に進むことにより,需要が喚起され,特にA4カラー機の伸びが著しいと予測する。



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