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「教育分野におけるディスプレイの未来ビジョン」概要

ディスプレイデバイス部会ではディスプレイ調査事業として、2015年6月~11月に「教育分野におけるディスプレイの未来ビジョン」を制作しました。以下に、活動の内容を紹介致します。

1.本調査の目的

  •   教育分野、とりわけ小中高教育におけるディスプレイの未来についてのビジョンを策定する。


2.ビジョン策定のプロセス

  •   上記目的を達成するために、ディスプレイデバイス部会と外部スタッフでプロジェクトチームを編成し、以下のプロセスでキーワード・アイデアを抽出し、ディスカッションやワークショップを通じて、ビジョンを策定した。

① 識者10人インタビュー

  • ディスプレイ業界内部とは異なる視点、アイデアを頂くために、「情報技術」「放送教育」「社会科学」など、多様な分野の識者にインタビューを実施。
  • インタビューから、未来の教育では、生徒のコミュニケーション力、現実体験、コラボレーション力を拡張していくようなあり方が求められ、ディスプレイはこれらの能力拡張を支援していくような革新的な装置になることが求められるとの示唆を得た。


② 抽出されたキーワード・アイデアを討議しビジョン案を策定

  • 識者インタビューの中から抽出されたキーワードやアイデアを部会メンバーと外部スタッフによるワークショップで討議し、ビジョン案を策定。


③ ディスプレイの「未来ビジョン・シナリオ」

  • ②の討議を踏まえ、小中高生・教師のワークショップで討論するために、ビジョン案をシナリオ化し、併せて未来の教育やディスプレイ機器等を理解してもらうための“ビジュアル”を制作。
  • 小中高生、各グループに提示するシナリオは、2035年の学校や家庭でディスプレイが、従前のディスプレイとは異なる“何か”に生まれ変わっていることを想定し、以下のコンセプトで設計。
[小学生]… 海外の離れている友達とのコミュニケーションを取るための<コミュニケーションの拡張>装置としてのディスプレイ
[中学生]… 地域社会や屋外での<体験の拡張>装置としてのディスプレイ
[高校生]… 企画会議で仮想空間やホログラムを使った<コラボレーションの拡張>装置としてのディスプレイ


④ 小中高生・教師ワークショップ

  • 17名の小中高生および教員を対象としたワークショップを実施。
  • 小中高生のワークショップでは、100%デジタルネイティブ世代であることからか、提示された教育や家庭の未来像、そこにあるディスプレイやそれに類する機器などについて、好意的に受け止められ、未来に対する期待感が非常に高いという反応が見られた。


⑤ 最終ビジョン策定

  • ワークショップで示された感想・意見を精査し、再び検討を重ねて最終的なディスプレイの未来ビジョンを策定。
  • ワークショップにかけられた「未来ビジョンのシナリオ、ビジュアル」への反応、期待感を考えると、ディスプレイは学習能力、運動能力、想像力、創造力、五感など、子供たちのあらゆる能力を拡張し、発達させる“能力拡張装置”として重要な役割を果たし、教育には欠かせない存在になると推定される。



3.策定された4つの「ディスプレイの未来ビジョン」

【ディスプレイの未来ビジョンA】

  • 2035年、電子ブック・電子ノートを利用した授業が一般化。大きなランドセルは必要なくなり、持ち物は背面のロッカー及び机の側面などにコンパクトに収納できるようになって引き出しも必要がなくなったため作業スペースが広がる。黒板はなくなり、前面の壁とディスプレイが一体化。ホワイトボードのように電子ペンで書くことが出来る。映しだされた教科書などは、生徒の机上にある電子ブックにも映しだされる。
  • 電子ブックは、紙をめくるように薄いディスプレイをめくって使用する本型。データを書き換えることであらゆる科目の教科書となり、A4サイズが見開きでA3になる。電子ノートも同様にA4サイズで、紙に書くような感覚で筆記することができる。データは保存され、クラウドで管理される。シートディスプレイは折り畳むとA4、広げるとA2になり、壁に貼って発表の際のパネルにしたり、大判地図として見たりなど様々な用途で使える。

【ディスプレイの未来ビジョンB】

  • 郊外にある小学生の女の子の部屋。
    壁の一面が大きなディスプレイになっており、海外にいる友達とお互いの部屋を映すことにより、日本の女の子の部屋と、友達の部屋が空間的につながっているように見える。ディスプレイには、相手の部屋が映しだされるだけではなく、二人がしゃべった言葉が、お互いの言葉に翻訳され、画面に表示される。
  • ペット型ロボットは、ディスプレイに表示された言葉をしゃべり、二人のコミュニケーションを手助けする。

【ディスプレイの未来ビジョンC】

  • 中学校の体育館。友達とフットサルの練習。
    この体育館は、床が全面ディスプレイになっており、競技にあわせたコートのラインが浮かび上がる。ここではフットサルの最中に、お薦めのパスコースが示されており、もっとも効果があるパスコースが緑色のラインで強調して表示されている。
  • また、このディスプレイは体育で使用するだけでなく、全校集会、大画面でのプレゼンテーションなど、様々な用途に使用することが出来る。

【ディスプレイの未来ビジョンD】

  • 高校生が映画作りの会議を仮想の空間で行っている。
    現実では離れた場所にいる人たちが、実際に会って話をしているかのような会話ができる。テーブルは、脚本、演出、音楽などそれぞれの作業ごとに割り当てられている。
  • 机の上には、ホログラムで舞台セットやCGが浮かび上がり、それを囲んで会議をしている。外部にあるものをダウンロードし、机上に持ってくることが出来るなど、空間的なユーザインターフェースが利用できる。また、仮想空間の奥にある窓には、様々な風景を表示させることも出来る。

 今回は「教育分野におけるディスプレイの未来ビジョン」を制作する中で様々な発見がありました。
今後ディスプレイデバイス部会の各企業が、この結果を参考にディスプレイ産業の発展に活かして参ります。

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