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平成24年度 環境委員会および環境推進委員会事業報告

環境委員会及び環境推進委員会は、「環境と経済成長の両立」を目指し、政府のエネルギー政策や温暖化防止に係る施策等に対し、意見具申を行っている。また、産業廃棄物の排出抑制と循環型社会システム構築や、化学物質の環境リスク低減に向け、関連組織と連携し、業界としての取り組みを図った。
さらに、会員企業の国際競争力強化に向け、電子部品・半導体デバイスからIT・AV機器等に至る省エネ貢献を「見える化」について検討を行うとともに、供給製品による貢献について政府審議会等において周知を図った。

1.地球温暖化防止対策への対応

(1)中長期を視野に入れた対応

政府におけるエネルギー・環境政策の検討状況を視野に入れ、革新的技術の開発と普及につながる業界活動を行うとともに、業界の省エネを推進した。
また、気候変動枠組条約締約国会合(COP)をはじめとする国際的な動きを注視し、将来の国際枠組みや二国間クレジットの展開等に関する情報を収集・分析に努めた。

  1. ①国内関連制度の研究と業界スタンスの明示
    わが国のエネルギー政策/温暖化対策に関する検討動向を把握し、廉価で安定的な電力供給を求める意見具申を実施するとともに、他の産業界との共同により今後のエネルギー・環境政策に関する政策提言を行った。
  2. ②業界の次期行動計画の具体化
    2013年以降の低炭素社会実行計画の着実な遂行に向けて会員対応を展開するとともに、調査システム構築を進め、参加企業における試行調査を実施した。
  3. ③ライフサイクル視点での貢献評価
    低炭素社会実行計画の開始に向け、供給製品の使用時における省エネ貢献算定方法論の検討を進めた。また、国際エネルギー機関(IEA)の技術展望の精査を行い、中長期における当業界の貢献ポテンシャルを算定し、産業構造審議会等を通じて、省エネ貢献を強くアピールした。
  4. ④サプライチェーンを通じた温室効果ガス(GHG)排出量の算定/報告
    国内外で対応が活発化している、企業のサプライチェーン(スコープ3)のGHG排出量算定/報告手法等の検討に対し、動向把握を進め、環境経営の推進につながる意見具申を行った。

(2)京都議定書・目標達成計画の対応

  1. ①第一約束期間における業界見通しの精緻化を進め、わが国の目標達成への寄与を考慮した上で、現行自主行動計画の着実な推進を図った。
  2. ②民生部門の省エネ/CO2排出削減に資する施策導入につながるよう、現状の省エネ製品の普及によるエネルギー削減における環境貢献の周知を図り、理解の醸成に努めた。

(3)グリーンIT推進協議会との連携

業界の地球温暖化対策の取り組みをアピールするため、グリーンIT推進協議会と連携しEUの省エネ政策に係る議論に積極的に参画する等、地球温暖化対策活動の推進を図った。

2.製品環境問題への対応

(1)海外環境関連法規への対応

  1. ①EU/RoHS指令(危険物質に関する制限)、EU/REACH規則(化学物質の登録、評価認可および制限に関する規則)、米国各州法規制、中国/環境関連法規(中国版RoHS、中国版WEEE(廃電気電子機器指令))、アジア大洋州諸国の法規等、海外の環境規制の情報収集・分析と提供に努めるとともに、JEITA海外事務所、政府、関係機関および海外現地産業界と連携し、業界意見の反映に努めた。
  2. ②環境配慮設計の法律(ErP指令:エネルギー関連機器のエコ・デザインに関する指令)およびその他海外の環境規制の情報を収集するとともに、関係団体とも連携して対応に努めた。

(2)国内化学物質規制への対応

資源有効利用促進法における特定化学物質(6物質)の含有に関する電機電子7品目の情報提供制度(J-Moss:電気・電子機器の特定の化学物質の含有表示方法)の円滑な運用を図った。

(3)レアメタルリサイクル、小型電気電子機器リサイクル制度に向けた取組への対応

政府の審議会(産業構造審議会、中央環境審議会の合同小委員会)で検討されるレアメタルリサイクルについて、当該製品別部会、関連団体と連携して業界の対応策を検討し、課題への対応を推進した。
また、平成25年4月より施行される小型電気電子機器リサイクル制度「使用済み小型電子機器等の再資源化の促進に関する法律」についても、関連団体と協力しつつ、適宜必要なフォローアップ等を行った。

(4)バーゼル条約(技術ガイドライン案)への対応

現在、改定が進んでいるE-Waste及び使用済電気電子機器の越境移動に関する技術ガイドライン案に対する日本意見を関係団体と連携して取り纏め、関係省庁(経済産業省、環境省)へ意見具申を行った。

3.産業廃棄物等の排出抑制および循環型社会システム構築へ向けた対応

産業廃棄物および使用済製品の排出削減、再利用、再資源化対策(3R:Reduce、Reuse、 Recycle)について、業界として自主的な取り組みを推進した。

(1)電機電子業界の廃棄物等の排出状況の把握

当業界における事業所からの産業廃棄物等(有価発生物含む)の排出状況および最終処分量の把握のため、電機電子関連団体で連携してフォローアップ調査を実施し、必要な対応策を検討した。あわせて、一般社団法人日本経済団体連合会が進める2015年を目標年度とした「環境自主行動計画〔循環型社会形成編〕」に参画し、産業界の一員として3Rへの取り組みを推進した。

(2)資源循環事例集の策定

廃棄物管理実務の円滑化を推進するため、各社の資源循環への取り組み事例に基づく事例集を策定し、セミナー開催等を通じて会員企業の資源循環活動の促進に努めた。

(3)国内関連法規への対応

廃棄物処理法、再生資源利用促進等の関連法規について、業界意見の反映に努めるとともに、業界の円滑な対応を推進した。

4.化学物質の環境リスク低減への対応

(1)化学物質の審査および製造等の規制に関する法律(化審法)への対応

化審法における運用上の課題抽出、検討を行い、業界意見の反映に努めた。

(2)揮発性有機化合物(VOC)の排出抑制状況のフォローアップ調査の継続実施

生産活動に伴い排出されるVOCの排出抑制状況のフォローアップ調査を実施するとともに、排出削減に向けた施策の検討を継続して行った。

(3)化学物質関連法規への対応

化学物質の大気、水域、土壌への排出、浄化等の関連法規について、業界の円滑な対応を推進した。また、環境リスク低減へ向け、情報を収集し、会員企業へ情報を提供した。

(4)人材育成の推進

企業活動を行う上での環境リスク低減のため、それぞれの職種において必要とされる環境スキルを整理・策定した業界における環境スキルマップを基に、育成プログラムを作成し事業所での説明会を実施するなど会員企業の環境スキル向上に努めた。

5.国際環境問題への対応

(1)日欧標準化情報交換会への対応

日本工業標準調査会(JISC)/欧州電気標準化委員会(CENELEC)間で開催される「第17回JISC-CENELEC情報交換会」に参画するとともに、CENELEC TC111X(環境会議)との意見交換会に委員を派遣し、TC111国内委員会等の意見反映に努めた。(2012年11月、ベルギー)

(2)国際会議等への対応

世界電子フォーラム(WEF)、アジアエレクトロニクスフォーラム(AEF)等の国際会議における環境問題への対応に協力した。

(3)JEITA-CECC環境会議

JEITA-CECC環境会議を平成24年12月実施に向け計画したが、今年度は見送ることになった。

6.環境に関する広報活動

(1)CEATEC JAPAN 2012への対応

CEATEC JAPAN 2012のJEITA特別企画展示において、環境に関するパネル展示(スライド投影)を行い、活動成果を来場者に広く周知広報した。また、小学生を対象にしたキッズセミナーを開催し、環境保護活動の大切さを説いた。

(2)エネルギー対策、資源循環対策セミナーの開催

  1. ①電力供給の制約懸念のあるなか社会貢献の一環として、中小規模の工場・ビル等の省エネ/節電セミナーを開催した。(2012年11月、東京・大阪)
  2. ②資源循環促進に向けての「資源循環事例集」作成、及び産業廃棄物処理業者の現地確認効率化と優良化促進のための「現地確認チェックリスト」作成により、資源循環対策セミナーを開催した。(2013年3月、東京・大阪)

(3)「IEC TC111環境フォーラム」の開催

IEC/TC111(電気・電子機器、システムの環境規格)の中で、日本提案により規格(テクニカル・レポート)化を進めているGHG排出量算定方法(IEC/TR 62725)、GHG排出削減量算定方法(IEC/TR 62726)について、及びEC環境フットプリント、スコープ3等について、標準化等の取り組みを情報発信するため、関連団体と連携し「IEC TC111環境フォーラム」を開催した。(2013年1月、東京)

(4)生物多様性に係る取組

  1. ①生物多様性保全の推進支援を目的に会員各社の活動事例を電機電子業界の事業と関連づけて整理し、報告会を実施した(2012年9月)。
  2. ②事業者・経済団体・NGO・研究者・公的機関等で組織する「生物多様性民間参画パートナーシップ」会合に参加し電機電子業界の取組を発表した(2012年12月)

7.環境分野における国際標準化への対応

わが国が国際議長を務め、国内審議団体を引き受けているIEC/TC111(電気・電子機器の環境規格)において、化学物質情報開示、環境配慮設計、温室効果ガス排出量策定等の国際規格化を主導的に推進し、政府とともに国際競争力の強化を図る具体的な国際規格化の検討を推進した。
また、国内外の環境標準であるISO(国際標準化機構)、IEC(国際電気標準会議)、JIS(日本工業規格)等への対応に努めた。

  1. ①WG1(MD-WG:含有化学物質開示手順)の物質リストを更新するため、平成24年度より新たに設置したVT62474(化学物質データベース等の維持管理チーム)国内委員会の事業活動を支援した。また、MD-WGでは、IEC62474のガイダンス作成の検討を開始した。
  2. ②新設されるAHG8 (環境配慮設計分野におけるISOとのリエゾン組織)に積極的に関与するとともに、新たに発足した「ECD(環境配慮設計)対応国内委員会」において、IEC 62430
    Ed.1(環境配慮設計)の改正作業を開始した。
    また、AHG8にわり、新たに国際メンテナンスチームとして設置したMT62430においては、日本が国際コンビ―を獲得することができた。
  3. ③WG3(規制化学物質等測定方法)における7つのファミリー規格のFDIS(最終国際規格案)、CDV(投票用委員会原案)等が実施できるよう推進した。
  4. ④PT62542(環境用語)のテクニカルレポート(TR 62542)の発行を推進した。
  5. ⑤PT62635/PT62650(電気電子機器のリサイクル可能率と製造者とリサイクラーからの情報提供に関するガイドライン )のテクニカルレポートの発行を推進し、2012年10月に発行した。
  6. ⑥WG4 (温室効果ガス測定方法)で日本より提案した2つのテクニカルレポート(TR62725/62726)うち、TR62725 (温室効果ガス測定方法)を日本が主導して発行した。また、CFP(カーボンフットプリント)国際標準化に対応するため、関連WGへ参画し情報収集を行った。

(注:VT=Validation Team, AHG=Ad hoc Group、PT=Project Team、TR=Technical report)

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